○千曲坂城消防組合火災調査規程

平成8年11月1日

告示第4号

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(用語の意義)

第3条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集するための質問、現場見分及び鑑識、鑑定、実験等の一連の行動をいう。

(3) 鑑識 火災原因の判定を補助するため、専門的な知識、技術及び経験則を適用し、主として視認により総合的見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。

(4) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について科学技術的手法により、必要な試験を行い、その結果をもとに火災原因の判定のための資料を得ることをいう。

(5) 建物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。

(6) 収容物 原則として、柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。ただし、バルコニー、ベランダ等に置かれたものは収容物に含める。

(7) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。

(8) 原野 自然に雑草、かん木類が生育している土地で人が利用しないものをいう。

(9) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって、自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。

(10) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(11) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。

(12) 一件の火災 一つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでをいう。ただし、飛火による火災が現場から消防隊が引き揚げた後に発生したときは、当該火災は別件火災とする。

(13) 関係者等 法第2条第4号による関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考人をいう。

(14) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。

(15) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。

(16) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。

(17) 出火箇所 火災の発生した場所をいう。

(18) 爆発 人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象をいう。

(19) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴・火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(調査の区分)

第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。

2 火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。

(1) 出火前の状況 出火建物等の管理状況、作業状況及び火気使用状況等

(2) 出火原因 火災発生経過及び出火箇所

(3) 延焼拡大の状況 火災の延焼経路及び延焼拡大した素因

(4) 初期消火等の状況 使用した消火器具等、消火効果

(5) 避難の状況 火災現場(以下「現場」という。)における避難者、要救助者の行動及び救助状況

(6) 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備、避難設備及び消火活動上必要な施設の使用又は作動等の状況

(7) 死傷者の状況

(8) その他必要な事項

3 火災損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害

(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた、前2号以外の損害

(4) 火災による死傷者 火災及び消火活動、避難行動その他の行動等により現場等において死亡又は負傷したもの

(火災の種別)

第5条 火災の種別は、次の6種類とし、その内容は当該各号に掲げるとおりとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号に掲げる以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ゴミ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

2 前項各号に掲げる火災が複合する場合の種別は、焼き損害の大なるものによる。ただし、焼き損害額が同額又は算出されない場合は、火元の消防対象物による。

(焼損程度)

第6条 火災の焼損程度は、次の4種類とし、その内容は当該各号に掲げるとおりとする。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。

(調査責任)

第7条 消防長及び消防署長(以下「消防長等」という。)は、管轄区域内の火災調査の責任を有する。

(体制の確立)

第8条 消防長等は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。

2 消防長等は、火災の形態により調査を機動的、かつ、効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。

3 前項の調査本部の組織、編成等についての必要な事項は、別に定める。

(調査の実施)

第9条 消防長等は、管轄区域内の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

2 消防長等は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。

3 消防長等は、必要があるときは前項の調査員以外の職員を調査に協力(従事)させるものとする。

(調査員の心得)

第10条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。

(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。

(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。

(4) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。

(調査の原則)

第11条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち、事実の立証に努めなければならない。

(火災現場の見分)

第12条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出向いたときは、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、その他関係者の言動等を見聞したときは、現場指揮者に報告しなければならない。

2 調査員は、火災現場を見聞し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立会いの下に行う。

3 火災状況の見聞は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。

4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。

(現場の保存)

第13条 消防長等は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。

(死者が生じている場合の扱い)

第14条 消防長等は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。

(質問)

第15条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。

(照会)

第16条 消防長等は、必要があるときは、関係機関に対し必要な事項の通報を求め、又は火災調査関係事項照会書(様式第1号)により照会することができる。

(資料の収集・保管)

第17条 消防長等は、調査のため必要と認めるときは、関係のある者に対し、資料の任意提出を求めることができる。

2 特に必要である場合は、り災物件の関係者に対し、資料提出命令書(様式第2号)により資料の提出を命じることがきる。この場合、提出を依頼した資料のうち提出者が所有権を放棄しないものについては、鑑識(鑑定)処分承諾書(様式第3号)により提出者の承諾を得ておかなければならない。

3 消防長等は、資料の提出があった場合提出者に対し、資料保管書(様式第4号)を交付しなければならない。また、資料を保管する場合は、保管票を付し、保管品台帳に記録し、調査が完了するまで保管しなければならない。

4 資料提出者が、資料の返還を求めるときは、資料保管書と引換えに、返還しなければならない。

(鑑定)

第18条 火災原因調査に必要があるときは、鑑定依頼書(様式第5号)により関係機関に鑑定を依頼し、鑑定結果書(様式第6号)により回答を得るものとする。

(調査記録)

第19条 調査員は、調査結果を次の書類により消防長に報告しなければならない。

(1) 火災調査報告書(様式第7号)

(2) 火災調査書(様式第8号)

(3) 火災原因判定書(様式第9号)

(4) 出火出動時における見分調書(様式第10号)及び実況見分調書(様式第11号)

(5) 火災現場写真及び復元図(様式第12号)

(6) 質問調書(様式第13号)

(7) 鑑定結果書(様式第6号。関係機関に鑑定依頼した場合に限る。)

(8) 防火管理等調査書(様式第14号。消防法第8条に規定する防火対象物に限る。)

(9) 損害調査書(様式第15号)及び木造建物損害積算明細書(様式第16号)

(10) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等

(書類の省略)

第20条 火災の規模が小さく、かつ、被害が軽微なもので次の各号に該当するものは、火災調査報告書、火災調査書及び火災現場写真以外の書類を省略することができる。ただし、この場合、火災原因の判定は、火災調査書の火災概要欄に記載するものとする。

(1) 放火又は特異の火災でないもの

(2) 焼死者を伴わない火災であるもの

(3) 出火原因の明瞭、かつ、単純なもの

(原因の判定)

第21条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問、その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。

(即報)

第22条 消防署長は、火災の状況についてその概況を消防長に即報しなければならない。

(火災損害調査)

第23条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。

2 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)に基づき算出しなければならない。

(り災申告書等)

第24条 消防長等は、り災した消防対象物の関係者に、り災申告書(様式第17号)の提出を求めるものとする。ただし、り災申告書を求めることができない場合又は被害が軽微でその他必要がないと認めるときは、この限りでない。

(り災証明)

第25条 り災に関係のある者からり災証明書の交付申請があった場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、証明事務取扱要領(平成15年千曲坂城消防組合訓令第28号)によるり災証明書を交付することができる。

(火災に対する照会回答)

第26条 捜査機関等から当該火災に関する照会等がなされた場合、その回答は、消防長が行うものとする。

(書類の保存)

第27条 調査書は、千曲坂城消防組合文書取扱規程(平成15年千曲坂城消防組合訓令第7号)に基づき、保存するものとする。

(危険物流出事故等の調査)

第28条 危険物流出事故等にかかわる調査は、火災に準じて実施するものとする。

(委任)

第29条 この規程の運用に必要な事項は、別に定めるところによる。

1 この規程は、平成8年11月1日から施行する。

2 坂城戸倉上山田消防組合火災調査規程(昭和57年坂城戸倉上山田消防組合訓令第8号)は、廃止する。

(平成15年9月1日告示第1号)

この規程は、平成15年9月1日から施行する。

(平成16年4月1日告示第2号)

この規程は、平成16年4月1日から施行する。

(平成25年2月1日告示第1号)

この規程は、公布の日から施行する。

(令和3年5月1日訓令第7号)

この規則は、令和3年5月1日から施行する。

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千曲坂城消防組合火災調査規程

平成8年11月1日 告示第4号

(令和3年5月1日施行)

体系情報
第5編 防/第3章
沿革情報
平成8年11月1日 告示第4号
平成15年9月1日 告示第1号
平成16年4月1日 告示第2号
平成25年2月1日 告示第1号
令和3年5月1日 訓令第7号