○千曲坂城消防組合救急救命士の再教育実施要領
令和6年3月21日
訓令第4号
(目的)
第1条 この要領は、千曲坂城消防組合救急救命士運用要綱(令和6年4月1日訓令第3号以下「救急救命士運用要綱」という。)第3条第2項の規定及び「長野地域メディカルコントロール協議会救急救命士の再教育に伴う基本的事項」に基づき必要な事項を定め、病院実習や各種教育プログラムを通じて、病院前救護に必要な医学的知識と技能の維持に努め、資質の向上を図ることを目的とする。
(対象者)
第2条 救急救命士運用要綱第2条第1項第1号に定める運用救命士とする。
(再教育の重点項目)
第3条 救急救命士は生命の危機的状況を来たす循環虚脱、呼吸不全に即座に対応できる能力を十分に身につけるとともに、医療施設における超急性期治療が施設・技術的に機能分化・重点化している疾患、並びに病院前救護の標準対応が示されている疾患については、短時間での病態把握と適切な処置ができる能力を養う必要がある。
このことから、次に掲げる項目を中心として、再教育を実施する。
(1) 病態 | ・循環虚脱・呼吸不全・神経障害 |
(2) 疾患 | ・急性冠症候群・脳卒中・重症喘息・アナフィラキシー・外傷、急性中毒・周産期疾患・溺水・電撃症、熱傷・低体温・小児の急性疾患 |
(再教育体制)
第4条 救急救命士の再教育体制は、前条各号に掲げる項目を中心として、運用救命士は1年間で64時間以上の効果的な再教育を実施する。ただし、指揮管理救命士にあっては勤務に支障のない範囲で実施する。
2 救急救命士の活動実績は経験年数や出動回数によって異なるため、個々の活動実績に応じた再教育がなされるよう活動内容の把握と目標設定については以下により取り組むものとする。
(1) 原則1時間を1ポイントとし、1年間で64ポイント(指揮管理救命士は勤務に支障のない範囲)以上を目標とするポイント制の導入により、個々の救急救命士の活動内容を把握する。
(2) 再教育の具体的内容とそれぞれのポイント数については、別表1のとおりとする。
(3) 個々の救急救命士の活動内容からそれぞれの課題を明らかにして、教育目標を設定する。
3 病院実習は次のとおりとする。
(1) 病院実習は運用救命士(指揮管理救命士を除く)を対象として実施する。
(2) 病院実習は1年間で24時間(24ポイント)以上を必修として実施する。
(3) 病院実習内容については、「救急救命士の再教育に係る病院実習の手引」(平成20年消防庁救急企画室長通知)を基本とする。
(4) 病院実習先は、長野地域メディカルコントロール協議会で認めた医療機関で実施するものとする。
4 各種教育プログラムは次のとおりとする。
(1) 日常的な教育体制として、個々の活動実績で不足している項目や、さらに自己研鑽が必要と思われる項目について、下記の方法(①~⑩)により1年間で病院実習を含め64ポイント以上となるよう実施する。ただし、いずれも医師による医学的な裏づけが必要である。
① 救急出動(検証票作成対象症例)
② 症例検討会
③ 学術集会・研究会
④ 実践技能教育コース
⑤ 教育指導
⑥ 論文執筆
⑦ 救急救命技術研修会
⑧ 医療関係者同乗実習
⑨ 傷病者搬入時研修
⑩ その他の研修
(2) これらの病院実習以外の研修時間数32時間分(指揮管理救命士は16時間分)は業務命令とする。
(3) 業務命令に伴う時間外勤務手当の管理については、所属する救急係で集計し管理するものとする。
(4) 業務命令の対象については、オンライン研修を含め医師の医学的裏づけがあるものとし、事前に受講伺いの起案を行い所属長の決裁を受けておくこと。
(記録及び報告)
第5条 記録及び報告は次のとおりとする。
(1) 重症傷病者を医療機関に搬送し、処置の補助等を概ね30分以上行い、医師から指導・助言を受けた場合は、「重症傷病者等搬入時研修記録(様式1―1)を必ず記録すること。
(2) 病院実習や各種教育プログラムを修了するごとに、「就業中再教育病院実習記録(様式1―2)」「救急救命士教育記録表(様式2)」を作成するとともに、所属する救急係では「救急救命士教育等記録集計表(様式3)」で各救急救命士の活動内容を把握するものとする。
(3) 「救急救命士教育等記録集計表(様式3)、救急救命士生涯教育ポイント取得表(様式4―1、4―2)」により活動内容を消防長へ報告するものとする。
(4) 業務命令に伴う時間外勤務手当の管理については、「再教育超過勤務管理簿(様式5)」により所属する救急係で集計し管理、記録するものとする。
(5) 消防長は、運用救命士(指揮管理救命士を除く)の救急救命士生涯教育ポイント取得状況を長野地域メディカルコントロール協議会長へ報告するものとする。
(その他)
第6条 規定するポイントに達しない場合は次のとおりとする。
(1) 事情により規定するポイントの取得に支障がある場合は別途個別に検討する。
(2) 運用救命士(指揮管理救命士を除く)が規定するポイント数に達しない場合は、翌年を含めた2年間で128時間のポイント取得を目指し、そのうえでポイント数に達しない場合は、長野地域メディカルコントロール協議会専門部会委員医師又は指導救命士等が想定訓練等で手技の確認を行うものとする。
附則
(施行期日)
この要領は、令和6年4月1日から施行する。
別表1(第4条関係) 再教育の具体的内容とポイント数
実習内容 | 単位 | ポイント | 備考 |
病院実習(1) | 再教育1時間 | 1 | 24P/年以上(必須) |
派遣時間数 +1症例 | 時間数 +1P | 気管挿管実習(ビデオ喉頭鏡を含む) | |
派遣時間数 | 派遣時間数 | ワークステーション (WS)方式の実習 | |
ドクターカー同乗実習(2) | 1出動 | 5 | |
救急出動(3) (検証票作成対象症例) | 1出動 | 1 | |
症例検討会(4) (医療カンファレンス等) | 参加のみ | 3 | |
座長・発表 | 8 | ||
学術集会・研究会(5) | 参加のみ | 5 | |
座長・発表 | 10 | ||
実践技能教育コース(6) (ACLS) (ICLS) (JPTEC) (MCLS) (メディカルラリー) 等 | 半日型 | 5 | 最大20P/年 |
1日型 | 10 | ||
2日型 | 15 | ||
教育指導(7) (消防大学校又は消防学校)(全体研修) | 1時間 | ||
講師 | 2 | ||
受講者 | 1 | ||
教育指導(7) (救急隊員教養講座) | 指導者 | 10 | |
論文執筆(8) | 共著 | 5 | |
筆頭 | 15 | ||
救急救命技術研修会(9) | 発表・指導 | 5 | 指導救命士の講師可 |
参加 | 3 | ||
医療関係者同乗実習(10) | 1出動 | 2 | |
傷病者搬入時研修(11) | 1出動 | 2 | 最大18P/年 |
その他(12) | 病院主催研修会 | 5(※) | 合同研修会含む |
MC会長又は消防長が認める講習会等 | ※ | 警防課と要相談 |
※基本的には、いずれも医師による医学的な裏付けが必要となることに留意する。
(1) 1時間につき1ポイントとする。
「気管挿管認定のための病院実習」については、1症例1ポイントを加算する。
(2) ドクターカー同乗実習のポイントについては、今後、管内医療機関と運用を行う場合において付与するものとする。
(3) 救急出動とは、長野地域メディカルコントロール協議会救急救命処置実施基準第17に基づき、事後検証票を作成した救急出動を対象とする。
(4) 症例検討会とは、医療機関などが行うもので、医師が参加し、助言・指導が受けられるものをいう。消防署内で医師の参加なしで行うものは該当しない。
(5) 学術集会・研究会とは、長野県救急活動研究会、救急隊員セミナー、全国救急隊員シンポジウム、日本臨床救急医学会等が主催する各種学会・シンポジウムなどへの参加、発表をいう。
(6) 実践技能教育とは、標準化されたガイドラインを用い、技能習得と知識の整理を目的に人形や模擬訓練を使って実施されるシミュレーション学習法である。
(7) 教育指導とは、救急に関する研修会等の講師をいい、あくまでも救急隊員等を対象とする。
(8) 論文執筆については、主として、救急に関する医学誌や救急関係雑誌への投稿を指す。
(9) 救急救命技術研修会とは、医師又は指導救命士が講師となり実施する救急救命処置等に関する実技研修会をいう。
(10) 医療関係者同乗実習とは、救急ワークステーションが管内で運用された場合における医師同乗による救急出動及び署所における研修医等の救急自動車同乗実習をいう。
(11) 傷病者搬入時研修とは、重症傷病者を医療機関に搬送し、処置の補助等を概ね30分以上行い、「重症傷病者等搬入時研修記録(様式1)」を記載したものをいう。
(12) 医療機関主催の研修会や、医療機関と合同企画した研修会に参加した場合に該当するものとする。なお、企画立案者については、1研修会5ポイントを加算するものとする。
長野地域メディカルコントロール協議会長又は消防長が認める講習会等については、実習内容及びポイント数等を警防課長が指定するものとする。また、各所属で企画立案した訓練等については、実施の都度警防課と協議すること。なお、オンラインによるものはすべてこのカテゴリーとし、受講者には1時間1ポイントを付与するものとする。
様式 略